♪〜♪♪〜

「（･･･鼻歌？涼子ちゃんかな？洗面所のほうだ････にしてるのかな？）」

　　　　　　　　　　　　　　　　　・
　　　　　　　　　　　　　　　　　・
　　　　　　　　　　　　　　　　　・
「涼子ちゃん」
『わっ！』
「･･･そんなに驚かなくてもいいじゃない」
『･･････聞いてました？』
「だって、ごきげんな声で歌ってるから･･･」
『恥ずかしいな･･･もう』
「ずいぶんと、ごきげんだね」

『えへっ、このＴシャツ、どうかな？』 「いいんじゃない？」 『でしょ。デザインがいかにも外国って感じだよね』 「それ、ニューヨークで買ったの？」 『･･･あ、リビングに行って話さない？』 「それもそうだ」

　　　　　　　　　　　　　　　　　・
　　　　　　　　　　　　　　　　　・
　　　　　　　　　　　　　　　　　・

『このＴシャツね、アネックス・マーケットっていう古着のマーケットで買ったの』
「マーケットか」
『ニューヨークでもすごく有名なマーケットなの。６番街･･･マジソン・スクエア・パークの駐車場
　で、週末だけ開かれるんだよ』
「（･･･と言われても、場所がよく分からない）」
『入場料が１ドルかかるけど、いろんなお店があって楽しかった』
「どんなお店があるの？」
『古着とか、食器とか、アクセサリーとか･･･何でもあったよ。アンティークものが多かったな』
「どんなアンティークもの？」
『私がおみやげに買ったイヤリングは、アメリカの50年代モノだって、お店の人が教えてくれた。ホント
　かどうか分かんないけどね』
「そのＴシャツはいくらしたの？」
『５ドル！』
「そんなもんかな」
『うん』
「ほかにも、なにか買った？」
『買い物はそれくらいかな？でも、かわいいアクセサリーがいっぱいあったから、また行きたいな。20ド
　ルくらいで、これっ！ていう掘り出し物があったから』
「本物なの？」
『さぁ、わからないけど、ニセモノでもいいじゃない。かわいければ』
「ま、ニセモノ買うのもフリーマーケットの楽しさか」
『お父さんはね、レコードを買ってた』
「レコード、好きなんだ」
『うん。私のお父さんくらいの世代って、アメリカの文化に、すごくあこがれがあるみたい』
「･･･そうか、そういう世代かもね」
『私にはよく分からないけどね』
「それで、お母さんは？」
『お母さん、人混みが嫌いだから。そのときは私とお父さんと二人で行ったの』
「お父さんがうらやましいなぁ」
『ふふっ、いつか二人で行きたいね』
「（行きたいけど、ニューヨークは遠い･･･）」
『さてと･･･』
「また、ニューヨークの話でもなんでも聞かせてね」
『うん、いいよ』



涼子の大好きなアンティークものの話題･･･と言っても今回はフリーマーケットでの体験談。
掘り出し物のＴシャツを着てご満悦の涼子。やはり女の子です。映像もこのイベントだけアングルや表情も違っていて、新鮮な感覚でした。
アネックス・マーケットはニューヨーカーたちのフリマに止まらず、観光客相手にも手広く展開している、本当の意味での掘り出し市ですね。
マンハッタンにはチェルシーのフリマとヘルズ・キッチンの２ヵ所にあるそうですが、１ドルの入場料が必要なところを見ると、涼子が訪れたのはチェルシーの方のようです（ヘルズ・キッチンは入場無料）。
アンティーク・グッズ、かわいいアクセサリーに日本にはないデザインのＴシャツ等々、涼子にとってはワンダーランドでしょうね。お父さんと二人で行ったというのも微笑ましい風景･･･、あれ？剛君は？とも思いますが、まぁ彼はかわいいもの系には興味がなさそうだし、行っても『ボク、つまんなぁい』の一言で終わりそうです。でもそれでまた留守番させると逆に拗ねてしまいそうです。小学生男子、がんばれ！
それにしても、涼子の美的感覚って、原色系・派手系が多いですね。主人公クンへのお土産Ｔシャツも『うわっ、派手っ！』の心の叫びでしたから。