花言葉

「涼子ちゃん、なにやってるの？」
『お花のお水、取りかえようと思って』
「あいかわらず、涼子ちゃんは、植物にやさしいね」
『ふふっ、趣味だから。･･･そうだ。誕生花って知ってる？月ごとに決まっているお花･･･生石みたいなも
　んだけど』

『あなたの花言葉は･･････ええと。２月の花言葉はマーガレット。 　花言葉は《恋占い》』

『マーガレットって、もともとギリシャ語で、真珠って意味なの』
「涼子ちゃん、誕生花、全部覚えてるんだ」
『えへっ。こんなの覚えるヒマがあったら、世界史の年号を覚えろって言われそう。こないだ本を読んだ
 んだけどね。花言葉のルーツって、トルコなんだって』
「へえ」
『トルコでは、花と花を組み合わせて相手に送ることで、いろんな意味を伝えていたらしいの。その習慣
 が19世紀にヨーロッパで流行しはじめて、それから花言葉が決められたんだって。だから花言葉がある
　花は、その時ヨーロッパで栽培されてた花だけなの』
「全部の花に、かならず花言葉があるわけじゃないんだね」
『うん。同じ花でも国によって花言葉が違うこともあるし。それからひとつの花に２つ以上の花言葉があ
　る場合もあるんだ。たとえばスイートピーは《門出》と《別離》の2つの花言葉があるの。これって、別
　れをポジティブにとらえるか、ネガティブにとらえるかの視点の問題だと思うけど』
「びみょうなところだな」
『いい意味と悪い意味、両方の花言葉がある花が多いみたい』
「涼子ちゃんが、とくに好きな花言葉ってある？」
『･･････そうね。私が一番好きなのは、ローズマリーの花。２階の出窓のところにもあるんだけど』
「花言葉は？」
『《あなたの存在が私をよみがえらせる》･･･。
　私って、よく１人で落ち込んだり、泣いてばかりいるでしょ･･･。そんなとき、１人じゃどうしようも
　ないときに助けてくれる人って、すごく大切だよね。そういう人って、本当に、そこにいるだけで私
　をよみがえらせてくれそうな気がして･･･』
「･･････」

『･･･うまく言えないけど･･･ずっと一緒にいられなくても、いつでも私を 　受け入れてくれる･･･そんな人』

『･･････そうそう。お花の水を取りかえに来たんだっけ。じゃあ、またあとでね』



涼子の得意分野である花言葉や誕生花に関するエピソードです。

２月の誕生花・マーガレットは、主人公クンの誕生日を２月11日に設定した名残です（笑）。もちろん全月の誕生花の説明も涼子はしてくれるんでしょうが、さすがにあと11ヶ月分のリプレイは骨が折れそうでやっていません。

涼子の植物や花に関するウンチクは、植物園デートで堰を切ったように出てきました。この花言葉の知識は涼子にとってはちょっとした豆知識ぐらいなものなのでしょう。

プラスαで、さり気に主人公クンへ告白をしているところがいかにも涼子らしいところです。
選択肢はこの他に２つあって、一つは『家族かな？』、もう一つは『りえちゃんかな？』という主人公クンの問いかけがありました。涼子にとってどちらも大切な存在でありながら、そのどちらもが《あなたの存在が私をよみがえらせる》とは違うと言うあたり、すでに涼子の気持ちが大きく主人公クンに傾いている様子がうかがえます。