ガイア思想の話

『この間おじさんに会ったとき、おもしろい話を聞いたんだ』
「へえ、どんな話？」
『GAIA思想って知ってる？』
「ガイアしそう？」
『そう。GAIAっていうのは、ギリシャ神話に出てくる大地の女神の名前なんだけど、GAIA思想っていうの
　はね、地球が大きな生命体で、あたしたちは地球の意思によって生かされてるんだっていう考え方な
　の』
「へえ」
『だからGAIA思想では、人間が好き勝手に地球の環境を汚したり、他の生き物を絶滅させたりしてると、
　地球が怒って、人類を地球から抹殺する時がくるかもしれないって考えられてるの』
「ふうん」
『地球が生きてるなんて、突拍子もない考え方だと思うかもしれないけど、たとえば、むやみに森林を伐
　採していけば、酸素の作られる量が少なくなって、二酸化炭素が多くなるでしょ？そしたら地球の温暖
　化が進行して、北極や南極の氷が溶けだしたり、オゾン層の破壊が進行したりするじゃない』
「うん」
『北極や南極の氷が溶ければ陸地が水没するし、オゾン層が壊れればガンにかかりやすくなるし･･･。
　そうなると、人類はもちろん、他の生命まで地球上に住めなくなるでしょ』
「そうだね」
『地球をいたわる気持ちを忘れて勝手なことをしたら、環境破壊が進んで、いずれ人類が死滅してしま
　う。地球の意思が人間を滅ぼすというのは、つまりそういうことなの。だから、あたしたちは、少しで
　も地球の環境をよくするための努力をしなくちゃいけないの』
「地球の環境をよくする･･･か」
『あたしたちにできることは、ゴミをなるべく出さないようにしたり、リサイクルできるようにゴミを分
　けることくらいだけど、世界中の人がそれをすれば、地球の環境はずいぶんよくなると思うんだ』
「なるほどね。わかった。僕もゴミはなるべく出さないようにしよう」
『･･････そうだ。台所の空き缶、片づけておかなくちゃ』


本作品中、最も感じ入った話の一つです。

『人間は地球の意思によって生かされている』と言うのはいかにも当たり前の事実であり、そのことを忘れて好き勝手に地球を汚し続ける人類の何という愚かしい所業か。
現在我々を取り巻く、異常なまでの酷暑、豪雨、洪水、干ばつ、果てしなく巨大化する台風やハリケーン・サイクロン、極端な暖冬等々･･･。

これらはまさに、地球の怒りの叫びなのかもしれません。怒って叫んでいるだけならまだ救いはありますが、地球が本気で怒ったら人間などケシツブのようにすり潰されてしまうでしょうね。
何せ今や人類は、他の動物に比べて自然に対する生存能力が極端に劣る存在なのですから。